福島県郡山市から大阪市に母子避難されている

森松明希子さんの講演記録を抜粋で掲載させていただきます。

 

 

《追いつめられる避難者の心情》

五年後の現在、こうした帰還強要、不保護、放置、さらには避難者同士の分断・確執によりもっとも追いつめられているのが家族分散型(特にいわゆる母子避難と呼ばれる)の世帯であると思われる。

帰還する人が増えれば増えるほど、避難元の家族(おもに夫、親戚縁者)からの風当たりも強くなり、そのうえ、避難先でも上記のように分散型から一家移住へと移行する世帯があるなか、二重生活の維持における経済的な圧迫はもちろんのこと、精神的にかなり追いつめられている人が多い。この五年の間に当初母子避難だった世帯も家族移住となるケースも多い中での「置いて行かれた感」は半端なく、「何とかしなければ」との自覚があるうえに、前述通り、同じ避難者からの不的確助言・誘導により、心理的に圧迫され、精神的にも病んでしまう人も多い。また、実際体調を崩してしまう母子避難者もいる。

例えば子どもの学習が遅れる、子どもが成長して多感な時期になる(五年たっているので小学生は中学生に、中学生は高校生になっていたりする)ため生じる問題にもまわりが見えなくなり、また相談相手からも上記のような助言などがあった場合、孤立感および経済的圧迫ゆえに「避難元に戻りさえすればすべてが上手くいくのでは」との思いから、実際に避難元への帰還を選択した避難者もいる。実際帰還後に後悔してさらに心身ともに追いつめられるケースもある。帰還を促す施策を支援する団体などは、このような現状に鑑み、帰還後のケアやその後の追跡・状況の把握までケアできているのか、はなはだ疑問である。

また、避難元に残した家族との温度差、認識のズレなどで、避難元の親戚縁者とは縁を断ち切り離婚・離別に至るケースは初期のころから後を絶たない。